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スピン結合は核スピン同士の直接の磁気的な

スピン結合は核スピン同士の直接の磁気的な相互作用によるものではない。磁気双極子相互作用によるスペクトルへの影響は原子が等方的な運動を行なっている場合には消失してしまうが、スピン結合はそうならない。スピン結合は結合電子を媒介にしたスピン同士の相互作用に起因する。媒介は電子のスピン角運動量か軌道角運動量を通じて行なわれる。原子I、原子S間の化学結合を構成する電子のスピン波動関数はα(I)β(S) - β(I)α(S)のように2つの状態の混合で表される。このとき原子Iおよび原子Sにαの電子がある確率と、βの電子がある確率は等しい。そのため、それぞれのスピンI,Sに及ぼされる電子スピンによる正味の磁場は0である。ここで原子Iにスピンがあることを考慮に入れる。もしIが同じ向きのスピンを持つ電子がIにある方が安定化するならば、Iがαの場合には波動関数のα(I)β(S)の項の比率が増加し、β(I)α(S)の項の比率が減少する。こうすると原子Sにはβスピンが存在する確率が増加する。その結果、原子Iにはαスピンの電子が作りだす磁場が、原子Sにはβスピンの電子が作り出す磁場が生じることになる。逆にIがβの場合には原子Iにはβスピンの電子が作りだす磁場が、原子Sにはαスピンの電子が作り出す磁場が生じる。この結果、それぞれ原子Iと原子Sには2種類のラーモア周波数を
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持つものができることになる。 核スピンと電子スピンの間の相互作用には二種類がある。一つは磁気双極子相互作用によるものである。もう一つはフェルミの接触相互作用と呼ばれる機構である。フェルミの接触相互作用の大きさは原子核の位置での電子の存在確率に比例する。原子核の位置で波動関数が0でないのはs軌道だけである。そのため結合電子のs電子性が高い場合、特にプロトンについて重要な機構である。 核スピンと電子の軌道角運動量の間にも化学シフトの常磁性項と同じような機構での相互作用が考えられ、スピン結合の原因となる。これはs電子以外の電子で重要な機構である。 このモデルから分かるとおり、スピン結合には外部磁場の存在は関係ない。ハミルトニアンに静磁場B0が含まれていないのもこのためである。よってスピン結合による分裂幅は静磁場の強度には依存しない。そのため化学シフトとは異なり、スピン結合の値を議論する場合には周波数の観測値をそのまま用いる。

結合定数Jの符号はラーモア周波数の測定からは知ることができないが、緩和現象などを利用して測定がされている。H-NMRにおいては、ほとんどの場合ジェミナル水素の結合は正、ビシナル水素の結合は負の値を持つことが知られている。

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2009年06月20日 05:41に投稿されたエントリーのページです。

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